【6月26日 AFP】およそ900万の人々がひしめき合うベトナムの首都ハノイ。市街地の通りを見下ろすように立っているのは、細長い色とりどりの住宅「チューブハウス(tube house)」だ。

 フランス植民地時代にはかなりの数の邸宅が建てられたが、ハノイには少ない。その代わり、間口がわずか4メートルほど、奥行きはその3倍ほどの数階建ての住宅が、並木道に沿って肩を並べている。

 チューブハウスで暮らしているのは4人家族が多いが、2世代、3世代が同居していることもある。

 ベトナム語で「ニャーオン(nha ong)」と呼ばれるチューブハウスの初期のものは、19世紀末にハノイに出現したとみられる。銀や伝統的な薬草、道具などを売るために地方の人々が同都市圏に移動し始めた頃だ。

 狭い建築様式は、空きスペースが限られていることから生まれたと指摘するのは、国立ハノイ土木大学(National University of Civil Engineering)のトラン・クオック・バオ(Tran Quoc Bao)上級講師だ。

 現代のハノイでも、チューブハウスのデザインは好まれている。

「これは都市の建築家にとって不可欠な住宅モデルです。伝統的な家屋でありながら、近代的な住宅でもある」と、ハノイ在住のバオ氏はAFPに語った。チューブハウスはベトナムの他の多くの都市でも見られるとも話している。(c)AFP