【6月17日 AFP】シンガポールの考古学者らが16日、数世紀前に同国沖で沈没した船2隻から陶磁器などが見つかったと発表した。こうした工芸品が発見されるのは珍しく、シンガポール海運史の解明につながるとしている。

 シンガポールは古くから、インド洋と南シナ海(South China Sea)をつなぐ航路の主要な貿易中継地として栄えてきた。

 調査に当たった国家遺産局(NHB)とシンクタンク「ISEASユソフ・イシャク研究所(ISEAS-Yusof Ishak Institute)」によると、2隻は同国東部ペドラブランカ(Pedra Branca)島沖で見つかった。

 1隻目は2015年にダイバーが偶然、陶磁器の皿を見つけたことから発見された。この船には、シンガポールがテマセクと呼ばれていた14世紀に作られたとみられる中国製陶磁器が複数積まれていた。

 その一部が陸地で発掘された工芸品と類似することから、シンガポールは英国入植者が1819年に上陸するはるか前から貿易の中継地だったことが示された。

 1隻目の海中発掘調査で見つかった2隻目は、1796年に中国からインドへの航海中に沈没したインド製商船「シャームンチャ(Shah Munchah)」だとみられている。

 NHBとISEAS研究所によると、2隻目には中国製陶磁器やガラス、メノウ製品の他、いかりや大砲も積まれていた。

 こうした大砲は18〜19世紀の東インド会社(East India Company)の商船に装備されていたという。

 1隻目はシンガポール海域で初めて発見された歴史的な難破船であり、ISEAS研究所のマイケル・フレッカー(Michael Flecker)客員研究員は、「世界で記録されたどの難破船よりも多くの元(Yuan)王朝の青花磁器」を運んでいたと話した。

 フレッカー氏によると、2隻目の積み荷のほとんどは中国から英国へ宛てたものだったという。

 映像は16日提供。(c)AFP