【6月17日 AFP】イスラム教の聖地メッカ(Mecca)で今週、大巡礼「ハッジ(Hajj)」を前に、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)のため、聖水を詰めたボトルをロボットで配る試みが始まった。

 サウジアラビア政府は12日、国内在住で新型コロナウイルスのワクチン接種を済ませた6万人に限り、ハッジを認めると発表した。この人数は、昨年よりは多いものの、例年に比べるとはるかに少ない。

 2019年には、世界各地から約250万人がハッジに参加した。

 当局は13日、新型コロナウイルスの感染対策として、黒と白の小さなロボットを公開した。聖水が入ったボトルが並べられた棚が3段あり、何人かが困惑と好奇心が入り交じった表情でボトルを手にしていた。

 聖水は、聖モスク(Grand Mosque)にあるザムザム(Zamzam)の泉からくまれたもの。水を管理するバダル・ロクマニ(Bader Al-Loqmani)氏は、「ロボットの目的は、人と人が接触することなくサービスを提供することだ」と語った。

 ロクマニ氏によると、現在約20台のロボットが使用可能で、必要に応じて増やすこともできるという。

 イスラム教徒の間では、ザムザムの泉の水は奇跡をもたらすとされている。何世紀も前から大勢の巡礼者が水を求めてやって来ており、例年はザムザムの泉の水が入ったボトル数十万本が配られている。

 ハッジはイスラム教徒の五つの義務の一つだが、2年連続で例年より規模を大幅に縮小して行われる。(c)AFP