【6月19日 CNS】中国の家庭紙メーカーの金紅葉紙業集団(Gold Hongye Paper)、恒安集団(Hengan)、維達(Vinda)、中順潔柔(C&S Paper)などは3月末、相次いで製品の値上げを発表し、最近も店頭で紙製品の価格が上がっている。一部の地域では1か月に3回も値上げされ、買いだめも起きている。

 広州市(Guangzhou)越秀区(Yuexiu)のスーパーで取材すると、ほとんどのメーカーのティッシュペーパーやトイレットペーパーは通常価格で販売されていた。しかし業界関係者は「こうした日用品は通常、割引セールが行われている。割引サービスがなければ実質的には値上げになる」と説明する。また、卸売業者を経由して店舗に届いている現在の商品は大手企業の値上げ発表前に製造されたもので、在庫が無くなり次第、価格に影響が出るとみられる。

 全国工商連合紙業商会の張慎金(Zhang Shenjin)事務局長は「原料のパルプや物流、エネルギーなどの価格が世界的に上昇し、企業の生産コストを増加させた」と値上げの背景を説明する。

 小規模家庭紙メーカーの一部はパルプの大幅値上げ分を販売価格にそのまま転嫁できないため、操業を停止する可能性がある。大手メーカーでも操業を一時停止し、機械のメンテナンス期間にあてることを検討している。

 一方、今回の値上げ局面で、産業チェーンの「上流」にあたる製紙会社は多大の利益を上げている。晨鳴紙業(Chenming Group)の第1四半期(1~3月)の純利益は前年比481.4%増の11.79億元(約203億円)、太陽紙業(Sun Paper)は106.7%増の11.08億元(約191億円)となった。博匯紙業(Bohui Paper)も純利益が前年の5倍に急増した。

 専門家によると、製紙業界では「上流」の製紙会社が影響力を持ち、一部の大手は大量の在庫があるため多くの利益を得る見込みという。在庫を使い果たし新たにパルプを購入した後も、市場価格をコントロールする影響力があるため、コストを価格に転嫁できるという。(c)CNS-広州日報/JCM/AFPBB News