【6月19日 AFP】より良い生活を求めて、欧州を目指した人々──地中海を渡る途中で亡くなった移民のための墓地がチュニジア南部につくられた。正式な運営開始を前にすでに半分が埋まっていた。

 墓地の設計を手掛けたアルジェリア人アーティストのラシド・コライシ(Rachid Koraichi)氏(74)は、「海の哀れな人々」のための墓地だと語った。墓地の名「ジャルダンダフリック(Jardin d'Afrique)」は、フランス語で「アフリカの庭」を意味する。

「ギャングやテロリスト」に脅されながら過密状態の粗末なボートに乗り込み、命を落とした移民には、尊厳ある休息の場が与えられるべきだとコライシ氏。「彼らにとって初めての安息の地にしたかった」

 コライシ氏は2018年、チュニジア南部の沿岸都市ザルジス(Zarzis)に墓地をつくるための土地を購入。リビア国境に近いザルジスからは長年にわたり、数え切れないほど多くの移民が海へ出て行った。

 墓地には、すでに200基を超える白い墓が並ぶ。イスラム教の五行を象徴する5本のオリーブの木と、イエス・キリスト(Jesus Christ)の最初の弟子である十二使徒を象徴する12本のブドウの木に囲まれている。

 多くの墓石には名前が刻まれていない──少なくとも今は。そこで眠る人々のわずかで悲惨な情報が記されているだけだ。

 ある墓石には「女性、黒のドレス、ハシャニ(Hachani)の浜辺」と刻まれていた。遺体の見つかった場所を示している。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の5月初めの発表によると、今年に入り地中海を渡ろうとした移民のうち、少なくとも500人が死亡。昨年同時期の150人の3倍以上に上っている。(c)AFP/Caroline Nelly Perrot