武漢研究所員、コロナ流出説否定 中国
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【6月15日 AFP】新型コロナウイルスの起源をめぐる研究所流出説の渦中にある中国・武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)の研究員が、自らの研究機関の責任を否定した。
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米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の異例のインタビューに応じた同研究所の石正麗(Shi Zhengli)氏は、「エビデンスがないのに、いったいどうやってエビデンスを提示すればいいのか?」と問い掛け、「世界がどうしてこのように一人の無実の科学者に汚物を浴びせ続けるような状況になったのか、私には分からない」と述べた。
石氏はコウモリのコロナウイルスの専門家。一部の科学者らは、石氏がいわゆる「機能獲得(GOF)」実験を率いていた可能性があると述べている。これは宿主に対するウイルスの影響をよりよく研究するため、そのウイルスを増強する実験とされる。
ニューヨーク・タイムズによると、石氏ら武漢ウイルス研究所の研究員らは2017年、「人間の細胞内における感染力と複製能力を調べるために、既存の複数のウイルス(その中には人間への感染がほぼ可能なウイルス少なくとも一つが含まれた)の部分を混ぜたり組み合わせたりし、コウモリのコロナウイルスのハイブリッド型を新たに作った」という実験報告を発表した。
しかし、石氏は同紙への電子メールで、自分の実験はウイルスの危険性を高めようとしたものではないため、GOF実験とは異なると述べた。実験は、種を超えてのウイルスの伝播(でんぱ)を理解するためのものだったという。
石氏は、「私の研究室は、ウイルスの毒性を高めるGOF実験を行ったこともなければ、協力したこともない」と述べた。(c)AFP