【6月15日 AFP】世界保健機関(WHO)は14日、新型コロナウイルスはワクチンの普及よりも速く拡散していると警告し、先進7か国(G7)が表明した途上国へのワクチン供与10億回分は全く不十分だと指摘した。

【図解】新型コロナウイルス感染症とワクチンに関する誤った主張

 WHOはまた、G7によるワクチン支援の発表はタイミングが遅過ぎ、10億回分という量も少な過ぎると指摘。110億回分以上が必要だと警告した。

 ワクチン格差をめぐり強く非難されているG7は、週末に英国で開催された首脳会議(サミット)で、途上国へのワクチン供与を今年2月に約束した1億3000万回分から10億回分以上に引き上げた。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、G7がワクチンの公正な分配を目指す国際枠組み「コバックス(COVAX)」を主に通じて「(さらに)8億7000万回分を寄付すると発表したことを歓迎する」と述べた。

 一方で「大きな助けには違いないが、われわれはより多く、より早く(ワクチンを)必要としている。こうしている今も、新型ウイルスは世界のワクチン供給よりも速く拡散している」と強調。「毎日1万人以上が亡くなっている。(中略)そうした社会はワクチンを必要としており、必要なのは来年ではなく今だ」と述べた。

 多くの富裕国ではワクチンの普及に伴い人々が日常を取り戻しつつあるが、それほど裕福でない国では今もワクチンが不足している。

 人口100人当たりのワクチン接種回数は、G7では73回に上っているが、世界銀行(World Bank)が分類する低所得国ではわずか1回にとどまっている。

 G7が寄付するワクチンの多くは、コバックスを通して提供される。

 コバックスはWHOの他、ワクチン普及に取り組む国際組織「Gaviワクチンアライアンス(Gavi, the Vaccine Alliance)」とワクチン開発の国際連携組織「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」が運営する。これまで131か国に対し、計8700万回分以上のワクチンを出荷したが、予定数をはるかに下回っている。(c)AFP/Agnès PEDRERO