【6月16日 AFP】新型コロナウイルスの影響で、列車の旅がほぼできなくなっているカンボジアで、車両を改造した「どこにも行かない」おしゃれ列車カフェが登場し、鉄道ファンを喜ばせている。

 カンボジアには、タイと国境を接する北部から南部沿岸の間に600キロ以上に及ぶ鉄道網が整備されているが、長年の内戦とメンテナンス不足により、線路の大半は破損している。さらに新型コロナウイルスにより、残っていた路線も多くが停止された。

 空港と市街地を結ぶ路線も昨年、運休となった。南部の港湾都市シアヌークビル(Sihanoukville)に向かう路線は、過去最悪の新型コロナウイルスの流行に見舞われた今年3月以降、運休となっている。

 しかし、プノンペン駅にオープンした列車カフェには、インスタグラム(Instagram)やフェイスブック(Facebook)に載せるセルフィー(自撮り)を撮る人や、冷たい飲み物を求める人々が集まっている。

 3週間に及ぶプノンペンのロックダウン(都市封鎖)が緩和されると、列車カフェは大にぎわいとなった。

 カフェに来ていた19歳の学生は、「何週間も家にいて退屈していたので、景色が変わってうれしい」と話した。「ストレス発散になる」

 鉄道を運行するロイヤル・レイルウエー(Royal Railway)の旅客部門責任者、サック・バニー(Sak Vanny)氏は、これまで使っていた車両のべたべたする破れた座席を取り外し、座り心地の良い椅子に変えるといったわずかな改良だけで済んだと述べた。

 バニー氏は「新型コロナウイルス流行中でもいくらかの収入を確保し、従業員を支援するため、車両を列車カフェに改造する考えが浮かんだ」と話した。

 映像は5月31日と6月5日に撮影。(c)AFP