【6月15日 AFP】国連(UN)の人権専門家らは14日、中国で拘束されている少数民族が強制的な移植用臓器摘出の対象とされている可能性を示す「信頼に足る情報」を得たと発表した。一方、中国政府はこれを激しく否定している。

【関連記事】中国で臓器の強制摘出横行、「法輪功」が標的に 調査組織が報告

 12人の独立専門家には人身売買、拷問、宗教・信条の自由権の各分野の国連特別報告者や、恣意(しい)的な拘束に関する国連作業部会のメンバーらが含まれている。国連の委任を受けているが、その発言は国連を代表するものではない。

 専門家らは声明で、この疑惑に「非常に危機感を募らせている」と述べた。拘束されている少数民族出身者は、詳しい説明と同意なしで強制的に血液検査や、超音波やX線による臓器検査を受けている可能性があるという。少数民族出身者以外の被拘束者にそうした検査は要求されない。

 また検査結果は臓器移植用のデータベースに登録されるという。摘出される臓器は心臓、腎臓、肝臓、角膜が多いとされる。

 専門家らは「中国における強制的な臓器摘出は、多くの場合、理由を説明されたり逮捕状を示されたりすることなく拘束された特定の民族・言語・宗教的少数派を対象にしているとみられる」とし、「われわれは受刑者および被拘束者に対する民族や宗教・信条に基づいた差別的待遇の報告を深く懸念している」と述べた。

 一方、ジュネーブ国際機関中国政府代表部の劉玉印(Liu Yuyin)報道官は、専門家らが「偽情報」を用いていると主張。中国はこの「誹謗(ひぼう)中傷」に「断固反対し、厳然と拒否する」と述べた。

 中国は受刑者、特に国内で非合法化されている気功集団、法輪功(Falun Gong)のメンバーから強制的に臓器を摘出していると何度も非難されている。だが、中国政府は常にこうした指摘を強く否定している。

 国連の人権専門家らは、2006年と2007年にも中国政府に対し、受刑者からの強制的な臓器摘出疑惑について懸念を示したことがある。その当時、中国政府は移植用臓器の供給源に関する質問に十分なデータを提供しなかった。(c)AFP/Nina LARSON