【6月14日 AFP】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は14日、核保有国が核兵器の更新や増強に取り組む中、1990年代初頭から続いていた世界の核兵器数の削減傾向が停滞し、一部では増加の兆候も見られるとする年次報告書を発表した。

 SIPRI核軍縮・軍備管理・核非拡散プログラムのハンス・クリステンセン(Hans Kristensen)氏は、「冷戦(Cold War)終結以降われわれが見慣れてきた核兵器数の減少は、横ばいになりつつあるようだ」とAFPに語った。

 SIPRIの推計によると、米国、ロシア、英国、フランス、中国、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9か国は、2021年初の時点で計1万3080発の核弾頭を保有している。前年初の1万3400発からは微減となったが、これには解体を待つ核弾頭も含まれており、それらを除くと世界の核弾頭数は9380発から9620発に増えた。

 また、作戦部隊に配備されている核弾頭数は3720発から3825発に増加。このうち約2000発は、数分以内に発射できる「高度​作戦警戒」下に置かれているという。

 クリステンセン氏は「世界中の全ての核保有国で、核兵器の近代化が大々的に行われている」と指摘。さらに、核保有国は「自国の軍事戦略における核兵器の重要性」を高めているようだと述べた。

 この傾向は合わせて世界の核兵器の90%以上を保有する米国とロシアの両方で見られるが、「他の7か国も全て新兵器を開発・配備しているか、その意向を表明している」という。(c)AFP/Johannes LEDEL