【6月14日 AFP】試合中に心停止状態に陥った経験を持つ元サッカー選手のファブリス・ムアンバ(Fabrice Muamba)氏は13日、欧州選手権(UEFA Euro 2020)のフィンランド戦で倒れたデンマーク代表のクリスティアン・エリクセン(Christian Eriksen)が蘇生処置を受ける映像を見て、眠っていた恐ろしい記憶が呼び覚まされたと話した。

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 ピッチ上でCPR(心肺蘇生法)を受けている間、チームメートはエリクセンの周りを囲んで壁となり1万6000人の観客の目を遠ざけた。

 試合はヨエル・ポーヤンパロ(Joel Pohjanpalo)のヘディングが決勝点となり、主要国際大会初出場のフィンランドが1-0で勝利したが、エリクセンの悲劇が暗い影を落とした。  

 2012年に行われたFAカップ(FA Cup 2011-12)の試合で心停止となりピッチに崩れ落ちたムアンバ氏は、エリクセンが倒れると「神様、お願いします」とツイートした。

 ムアンバ氏は英BBCに対して、「あの距離でそれを見て、何が起きるのか予想もつかない。恐怖だ」と話した。「ピッチに入ってきたメディカルスタッフの手柄だ。彼らはクリスティアンに最高の仕事をした」

 またムアンバ氏は、エリクセンを取り囲んだのは「すべての状況から守る」ためのものだったとし、デンマーク代表チームの行動に感銘を受けたという。

「ずっと置き去りにしてきた感情が呼び覚まされた。二度と繰り返したくない」

 最後にムアンバ氏は、医師が再びピッチに立つことは困難と見解を示したエリクセンに、「物事が彼の良いように転ぶよう祈っている。彼が乗り越えることを切に願っている」とエールを送った。(c)AFP/John WEAVER