【6月14日 AFP】サッカー欧州選手権(UEFA Euro 2020)のグループC初戦でウクライナを3-2で下したオランダのフランク・デ・ブール(Frank de Boer)監督は13日、デンマーク対フィンランド戦の試合中にかつて指導したクリスティアン・エリクセン(Christian Eriksen)が心停止で倒れる様子を目にしていたため、前日は「ジェットコースターのような夜」だったと振り返った。

 オランダ1部・エールディビジのアヤックス(Ajax)時代にエリクセンを指揮したデ・ブール監督は、「部屋を出る他なかった」とコメントした。

「クリスティアンとは5年にわたり一緒のチームで戦った。私の(代表)チームには今彼とプレーしている選手、あるいは彼がアヤックスにいたときにとても仲良くしていた選手がいる」

「昨夜はジェットコースターのようだった。戦術ミーティングを予定していたが、私がサッカーについて話したくなかったから、けさに変更しなければならなかった」

 エリクセンと交友のある選手が何人かいるオランダは同日、ダンゼル・ダムフリーズ(Denzel Dumfries)が終盤に劇的なゴールを挙げてウクライナを下し、感情面の難しさを乗り越えた。

 ヨハン・クライフ・アレナ(Johan Cruyff ArenA)に集まったサポーターたちもエリクセンを応援するメッセージが書かれたバナーを掲げ、英語で「エリクセン、強くあれ」と書かれたものもあった。

 また、オランダのDFデリー・ブリント(Daley Blind)は後半に途中交代する際、涙を浮かべていた。

 アヤックスでエリクセンとともに主力として活躍したブリントだが、心臓の筋肉の炎症である心筋炎と診断され、2019年12月には手術を受けた。

 デ・ブール監督は「デリーは自身の心臓にいくつかの問題があったから、とても感情的になっていた」と語った。「今でもクリスティアンは彼にとって親友の一人。いろんな感情がこみ上げてきたのは普通のことだから、われわれにとって間違いなく簡単ではなかった」

 デンマークサッカー協会(DBU)は同日、ピッチ上で倒れCPR(心肺蘇生法)を受けたエリクセンについて、病院に入院し続けているものの、容体は「安定」していると発表した。

 エリクセンと同じイタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)でプレーするDFステファン・デ・フライ(Stefan de Vrij)は、「精神的に打ちのめされていた。あのときは試合を見ていて、10分間は完全に沈黙していた」と振り返った。

「幸いにも彼の状態は良く、ニュースも前向きなものだ。もちろんそのことを考えている。目が覚めれば頭にそのことが浮かんで考えもするが、その後は試合に集中する必要がある。審判が試合を開始すればそれに専念し、全力を尽くそうとしなければならない」 (c)AFP