【6月13日 AFP】(更新)全仏オープンテニス(French Open 2021)は12日、女子シングルス決勝が行われ、世界ランキング33位のバルボラ・クレイチコバ(Barbora Krejcikova、チェコ)が6-1、2-6、6-4で大会第31シードのアナスタシア・パフリュチェンコワ(Anastasia Pavlyuchenkova、ロシア) に勝利し、四大大会(グランドスラム)初優勝を果たした。

 シングルスでは自身わずか5度目のグランドスラム本戦出場で優勝したクレイチコバは、これがキャリア通算2勝目で、次回の世界ランキングでは15位に浮上することが決まった。またこれで全仏の女子シングルスでは、6年連続でグランドスラム新チャンピオンが生まれたことになった。

 チェコ女子として1981年のハナ・マンドリコワ(Hana Mandlikova)以来40年ぶりとなる全仏制覇を果たしたクレイチコバは試合後、自身のメンターで、2017年にがんのため49歳で亡くなった元ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)女王ヤナ・ノボトナ(Jana Novotna)さんに今回の勝利をささげると話した。

「なかなか言葉にできない。たった今自分がグランドスラムで優勝したなんて信じられない」と喜んだ25歳のクレイチコバは、「ヤナとは彼女が亡くなる前に多くの時間を過ごした。私に最後に残したのは『テニスを楽しみ、グランドスラム優勝を目指して』という言葉だった」と続け、「自分のことを見てくれていると分かっている。今回も彼女が私のことを見てくれているおかげである部分が大きい」と話した。

「彼女と出会うチャンスがあったのは信じられないことだった。本当に刺激を与えてくれた。会いたいし、喜んでくれていることを願っている」

 クレイチコバは同胞のカテリーナ・シニアコバ(Katerina Siniakova)との女子ダブルスでも勝ち残っており、13日に行われる決勝ではダブルスで自身3回目のグランドスラム優勝が懸かる。

 一方のパフリュチェンコワは、自身52回目のグランドスラム出場で初の決勝を戦ったが、歴代3番目となる年長記録での四大大会初優勝はならなかった。

 29歳のパフリュチェンコワは「小さい頃からこの瞬間のためにスピーチの準備をしてきたが、今は言葉が出てこない」と話し、「世界中からこの1試合のために駆けつけてくれた友人たちに感謝したい。みんなはこれが私にとってたった一度のチャンスだと思っていたかもしれない」とコメントした。

「バルボラ、おめでとう。どうやってシングルスとダブルスを両方こなしているのか理解できない。自分は最後のポイントではもうくたくただった」

 今大会では両者共に上位シードの相次ぐ敗退を生かして勝ち上がった。今年の全仏では世界1位で2019年大会覇者のアシュリー・バーティ(Ashleigh Barty、オーストラリア)が2回戦、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)は4回戦で敗れたほか、同2位の大坂なおみ(Naomi Osaka)は1試合を戦った後に棄権。2018年大会を制したシモナ・ハレプ(Simona Halep、ルーマニア)は欠場していた。(c)AFP/Dave JAMES