【6月12日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米政権の司法省が、トランプ氏とロシアとの共謀疑惑を調査していた野党・民主党の有力議員らの携帯電話通信記録を米アップル(Apple)から入手し、ひそかに監視していたことが分かった。これを受け民主党は11日、前例のない権力乱用だと憤りを表明した。

 民主党のアダム・シフ(Adam Schiff)、エリック・スウォルウェル(Eric Swalwell)両議員は、アップルから最近通知を受けた情報として、同社が2017年から21年にかけ、自身やその子どもを含む家族の携帯電話通信記録を提出するよう命じられていたことを明らかにした。

 トランプ氏は当時、2016年大統領選をめぐるロシアとの共謀疑惑に関し、自身に不利な情報漏えいが相次いだことで対応を迫られていた。通信記録の調査により両議員が情報漏えいに関与していたことを示す証拠は見つからなかったが、調査はトランプ氏の大統領任期が切れた今年1月まで続けられた。

 シフ議員は声明で、「腐敗した大統領による法執行機関の武器化」を批判。民主党の上院指導部は、監視期間中に司法長官を務めていたジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)氏とウィリアム・バー(William Barr)氏を召喚し、この問題に関する証言を求める構えを示した。

 現在は民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領が指名したメリック・ガーランド(Merrick Garland)司法長官が率いる司法省は11日、トランプ政権下で議員や記者に対する調査のために行われた召喚状発付などの権限行使について、同省の監察総監が調査を行うと表明した。(c)AFP/Paul HANDLEY