馬やロバの井戸掘り、砂漠の動植物に恩恵 研究
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【6月18日 AFP】長きにわたり人の重要なパートナーとなってきた馬やロバだが、先ごろ発表された研究論文によると、砂漠の動植物にとっても同様に欠かせない存在であったことが分かった──馬やロバが砂漠で掘る井戸が他の動植物にも貴重な水を提供してきたためだ。
米科学誌サイエンス(Science)に4月末に掲載された論文の筆頭著者で生物学者のエリック・ランドグレン(Erick Lundgren)氏はAFPに対し、米アリゾナ州の水系を調査していた際にこうした関係に気付き始めたと語った。同氏は現在、豪シドニー工科大学(University of Technology Sydney)に在籍している。
ランドグレン氏のチームは3年にわたり、アリゾナ州とカリフォルニア州にかけて広がるソノラ砂漠(Sonoran Desert)で調査を行った。
研究では馬やロバが掘った井戸と、小川など地表の水がその他の動植物に与える恩恵を比較、調査した。調査ではカメラトラップ(自動撮影装置)を設置して、他の動物が井戸を利用する様子を撮影した。
調査の結果、井戸は地域の動植物にとって水にアクセスする機会を増やしていることが分かった。特に井戸が唯一の水源となる時期がある一部地域では、その意味は大きい。
ランドグレン氏は、砂漠の小川は毎年のように変化し、変動性も極めて大きいため、馬やロバはその影響を和らげる緩衝材としての役目を果たしていると話す。「ロバの井戸によって環境中には水が保持される。そして撮影できたすべての動物によって井戸は利用されていた。砂漠で見られるとは想像もしていなかったクマもいた」
その他、ミュールジカやボブキャット、アメリカカケス、ペッカリーなどの動物も撮影された。
チームはまた、すでに使われなくなった井戸で成長する水辺の木の苗を確認している。これは井戸が育苗箱としての役目も果たしていることを意味する。(c)AFP/Issam AHMED