【6月11日 AFP】ブラジルの最高裁判所は10日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって開催が懸念されていたサッカーコパ・アメリカ(2021 Copa America)について、同国で行うことを認める裁定を下した。これを受け、問題を抱えている同大会を13日に開幕するための道が開かれた。

 11人の裁判官のうちの大半は、今回のコパ・アメリカは健康面で容認できないリスクを引き起こすという告発側の主張を退けた。

 しかし何人かの裁判官は、政府に対して追加の安全策を講じるように命じている。

 カルメン・ルシア(Carmen Lucia)裁判官は判決文の中で、「新型ウイルスの感染が拡大して変異株も出現する中、『コパウイルス』を避けるために適切な健康プロトコルを設定し、それらが守られるようにする」のは州知事や市長の責任だと記した。

 ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領と南米サッカー連盟(CONMEBOL)は、大会は安全だと強調している。

 同国当局は、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)市にあるマラカナン・スタジアム(Maracana Stadium)で7月10日に行われる決勝を含め、無観客での試合開催を要求している。

 一方、主催者側は多くの反発に遭っており、大会のトップスポンサーだったクレジットカード大手のマスターカード(Mastercard)とビールメーカーのアンベブ(Ambev)の2社は9日、大会スポンサーからの撤退を発表。10日には、酒造会社のディアジオ(Diageo)もこの動きに続いた。

 さらに、ブラジル代表の選手全員やウルグアイ代表のルイス・スアレス(Luis Suarez)、アルゼンチン代表のセルヒオ・アグエロ(Sergio Aguero)ら、選手や監督の多くも大会の開催に非難の声を上げている。

 ネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)やチッチ(Adenor Leonardo Bacchi aka Tite)監督を含むブラジル代表のメンバーは、コパ・アメリカが自国で開催されることに仰天したと報じられており、ボイコットするといううわさもあった。

 最終的にボイコットには至らなかったものの、8日には共同発表文で「われわれはコパ・アメリカの開催に反対する」と記すなど、CONMEBOLを堂々と批判した。(c)AFP/Jordi MIRO