【6月10日 AFP】世界的な食肉加工大手JBSが、ロシアからとみられるサイバー攻撃を受けた問題で、同社は9日、さらなる被害を回避するため、身代金として1100万ドル(約12億円)相当の暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(Bitcoin)をハッカー集団に支払ったと明らかにした。

 ブラジルに本社を置くJBSは先週、コンピューターシステムへのサイバー攻撃を受け、同社の米国、カナダ、オーストラリアでの操業にも影響が出ていた。

 米子会社は9日に出した声明で、1100万ドル相当を身代金として支払ったと発表。アンドレ・ノゲイラ(Andre Nogueira)最高経営責任者(CEO)は、「これはわが社にとっても私個人にとっても、非常に難しい決断だった」と述べた。

 同社は今回の身代金の支払いについて、「攻撃に絡む予測不可能な問題を抑制し、データの流出を確実に回避するため」と説明した。

 ノゲイラCEOは米主要紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、身代金はビットコインで支払われたと明かした。

 ハッカー集団に巨額の身代金が支払われたのはここ数週間で2度目となり、生活に不可欠なインフラやサービス、事業などへのランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃への懸念が強まっている。先月には、米国のコロニアル・パイプライン(Colonial Pipeline)がサイバー攻撃を受け、身代金440万ドル(約4億8000万円)をビットコインで支払ったが、うち230万ドル(約2億5000万円)相当のビットコインは後に米司法省によって回収された。(c)AFP