【6月10日 AFP】埼玉県の東武動物公園(Tobu Zoo)に、台湾から繁殖のため雌のミナミシロサイの「エマ(Emma)」が到着した。

 台湾の六福村(Leofoo Village)野生動物公園で飼育されていたエマは、おとなしい性格の5歳。当初は3月に到着予定だったが、新型コロナウイルスの流行による事情から出発が延期されていた。

 東武動物公園は「新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、搬入が遅れていたミナミシロサイのエマちゃんですが、8日夕方に来園しました」と発表した。

 六福村野生動公園の主任獣医師は以前AFPに対し、エマはその落ち着いた性格と「小柄で海外輸送しやすい」という理由により、23頭の候補の中から選ばれたと話していた。

 エマは数週間一般公開される予定だが、その後には最初のお見合い相手である10歳のモラン(Moran)と親しくなるという、より重大な使命が控えている。

 動物園の繁殖プログラムは、ミナミシロサイの個体数の回復に重要な役割を担ってきた。

 サイ保護団体「セーブ・ザ・ライノ(Save the Rhino)」によると、野生のミナミシロサイは現在、約1万9000頭がアフリカ南部に生息する。20世紀には絶滅寸前だったが、保護活動が実りここまで回復した。

 サイの角の成分は、人間の爪や毛と同じケラチンだが、催淫やがん治癒効果がうたわれ、特に中国やベトナムなどアジア各国で需要がある。これが密猟横行の一因となっている。(c)AFP