【6月11日 Xinhua News】中国陝西省(Shaanxi)考古研究院は8日、同省楡林市(Yulin)靖辺県(Jingbian)で、明代の万里の長城のとりで「清平堡」を発見したと明らかにした。

 清平堡遺跡は同県楊橋畔鎮東門溝村にあり、同研究院が2020年5月から緊急発掘調査を実施している。これまでの調査で二つの区画に属する多くの建築遺構が見つかった。南側区画は比較的大きく、広さは南北約60メートル、東西約25メートル。区画の外壁や家屋、れんが敷きの地面などが残されていた。敷地から出土した石碑から、同区画が顕応宮と呼ばれる城隍廟(じょうこうびょう、土地の守護神を祭る廟)だと分かった。

 顕応宮遺構からは、保存状態の良い彩色塑像30点余りが見つかったほか、金メッキを施した銅像、鉄製香炉なども出土した。周辺では、瑠璃(るり)瓦や鴟尾(しび)などの建築部材、磁器片などの生活遺物が多く見つかり、磁雷(球状の磁器の内部に火薬を詰めた兵器)などの防御用兵器も含まれていた。

 もう一つの区画は、顕応宮の東側にある大型建築の基礎遺構で、碑文と県誌の記載によると、城内の中心的建築物だった可能性がある。これまでに土台部のトンネル状通路と基礎の一部が発掘され、基礎は東西約12メートル、残留部の高さ約3メートルだと確認された。

 清平堡は、明代長城から約10キロ離れた場所にある。明の延綏(えんすい)地区36営堡の一つで、成化年間(1465~87年)に造営された。南北約600メートル、東西約300メートルで、門は3カ所設けられている。完成後も数回にわたり高さの積み増しやれんがの補充が行われたが、清の康熙年間(1662~1722年)に廃棄された。その後、砂漠に埋もれたため、城内の配置や遺構は破損を免れた。陝西省北部の明代長城のとりでの中でも原形をとどめる数少ない遺跡となっている。(c)Xinhua News/AFPBB News