【6月10日 CNS】中国のSNSで最近、「棺おけの町」が話題となっている。山東省(Shandong)菏沢市(Heze)曹県(Cao)は、棺おけを製造する会社が数多くあり、ある統計によると、日本で使われる棺おけの9割が「メード・イン・曹県」という。

 曹県荘寨鎮(Zhuangzhai)を訪れると、あちこちに桐(きり)の板が整然と並び、通り沿いには「木材会社」「木材加工」の看板で並んでいる 。日本に輸出する棺おけの工房では、上品な色合いの布張りひつぎや繊細な彫刻が施された木製ひつぎが熟練の職人の手によって作られていた。

 高品質の桐が豊富なこの町は、木材加工で発展してきた。徳弘(Dehong)木製品会社の販売責任者、秦雪紅(Qin Xuehong)さんは「日本の方は亡くなるとひつぎと一緒に火葬されます。棺は軽くて燃えやすい素材で作る必要があり、曹県の桐は最も適しています」と話す。

 同社は毎月、桐の木650本に相当する約400立方メートルの桐材を使用。毎年30万基以上のひつぎを日本に販売している。棺おけを1基作るには30以上の工程があり、すべてが職人の手作業で行われる。秦さんは「日本人はひつぎの品質に対する要求が非常に厳しく、ひつぎのほとんどは白木なので、職人の常に手を清潔に保ち、爪までしっかり洗っています」と説明する。

 荘寨鎮には輸出中心の棺おけ製造会社が数多くある。

 徳億利(Deyili)木業会社もその一つ。責任者の古安華(Gu Anhua)さんは「以前は広東省(Guangdong)で棺おけを加工し、スペインと南アフリカに輸出していましたが、2016年に桐が豊富な曹県に移転しました」と話す。現在はイタリア、フランス、ルーマニア、ロシアなどに毎年約3万基を輸出している。

 荘寨鎮の郭鳳民(Guo Fengmin)党書記は「荘寨鎮は棺おけの加工だけでなく、中国の重要な材木生産拠点であり、桐の加工・輸出において中国最大の外貨獲得の拠点となっています。桐製品の輸出量は中国全体の70%を占めています」と話す。(c)CNS/JCM/AFPBB News