【6月9日 AFP】米政府が最富裕層や大企業の課税逃れ対策を検討する中、複数の米大富豪が所得税をゼロに抑えていた年があることが8日、明らかになった。

 ニューヨークの非営利報道組織プロパブリカ(ProPublica)の調査報道によると、小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)を創業したジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏は2007年と2011年に、電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク(Elon Musk)氏は2018年に、所得税をゼロに抑えた。

 プロパブリカは、「(米大富豪の一部は)膨大な富を持っているにもかかわらず、所得税をほとんど納めていない。まったく納めないこともある」と指摘した。プロパブリカは、非公開の納税記録の入手経緯は明らかにしていない。

 他にも、マイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)前ニューヨーク市長、「物言う株主」として知られる著名投資家カール・アイカーン(Carl Icahn)氏、投資家で慈善活動家のジョージ・ソロス(George Soros)氏らも所得税がゼロだった年がある。

 こうした大富豪は脱税こそしていないが、「一般人には手が届かない」節税策を取っているという。

 株式や土地などの資産について、価値の増加を考慮せず売却益のみを課税対象としている米国の税制も、大富豪に有利に働いている。(c)AFP