【6月9日 Xinhua News】中国上海市にある同済大学(Tongji University)材料科学・工程学院の陸偉(Lu Wei)教授が開発した磁性鉄基ナノ結晶合金材料に関する研究成果がこのほど、2020年上海科学技術進歩賞の1等賞を獲得した。

 陸氏は「従来の鉄粉の構造はミクロンレベルだが、急速冷却などの方法でナノレベルにし、さらに他の元素を加えて鉄基ナノ結晶合金にした」と説明。犯罪捜査で使う指紋検出粉末、電子情報機器や高精密機器で用いるコア部品の二つの分野が抱える問題を解決したと述べた。中でも今回の研究成果を元に開発された指紋検出粉末は、全国20余りの都市の公安局で試験導入されている。

 今回開発された指紋検出粉末は、海外のハイエンド粉末に比べ①指紋の検出精度が高く、汚れも少ない②より古い指紋を検出でき、指紋保存期間も3日から7日に延長できる③水気や湿気に強く、水に濡れた指紋も検出できる④価格の大幅な引き下げ-という特徴があるという。

 磁性鉄基ナノ結晶合金材料は、電子情報分野でも性能の高さを発揮している。研究室での取材では、実験スタッフが25マイクロメートルの薄帯にした同材料をリング状の金属磁心材料に巻き付けていた。この種の部品は小さいながらも非常に有用で、変圧器やフィルターなどの電子部品の中核をなすという。陸氏は「これらの金属磁心材料は、消費電力が少なく、優れた使用効果がある。通信、コンピューター、スマートフォンのほか、一部の精密先端分野で活用されている。量産化もされており、幅は小さなもので1ミリ、大きなものでも数センチだ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News