■絵に表れる心の傷

 武装勢力の攻撃で、3年半で70万人以上が避難を強いられてきたが、うち5万7000人近くは、北部沿岸の町パルマ(Palma)が最近襲撃された時の避難民だ。

 子どもたちが残虐な行為を目の当たりにして受けた心の傷は、絵にはっきりと表れている。

 軍用ヘリコプターを描く子もいれば、今の住まいを描く子もいる。ほこりっぽい避難民キャンプの中に竹と泥で建てられた仮設の小屋だ。

 子どもたちは「進んで絵を描くようになり、感情を表現するようになりました」とエリックマール・ロドリゲス(Erickmar Rodriguez)氏はAFPに語った。同氏は、国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」でメンタルケアに関する活動のマネジャーを務めている。「これはすごくいいこと。遊びを楽しむ気持ちを取り戻すのは大事なことだからです」

 キャンプ近くの村にも避難民が移住しているが、そこではカトリックの神父、エデガルド・シルバ(Edegardo Silva)氏が子どもたちの心の傷を癒やす一助として人形劇を活用している。

 待ちかねたように座っている30人ほどの子どもたちの前で、シルバ神父と2人の助手がピンクとクリーム色の幕を広げた。幕の後ろから、竹の棒に取り付けられた小さな人形が登場し、子どもたちに向かって元気にあいさつした。人形の声を出しているのは神父だ。

 子どもたちは1人ずつ前に出て、人形と握手をしながら恥ずかしそうに自己紹介した。

 劇が終わると、全員で輪になってボール遊びをし、その後で子どもたちにはキャンディーが配られた。

 子どもたちにとっては「セラピーでもあり、遊びでもあり、堅苦しいものではありません」とシルバ神父は言う。

 ほとんどの子どもは、襲撃で親を失うか、親と離れ離れになっている。しかし神父は、この集まりがきっかけで、家族との再会を果たす子もいるのではないかと考えている。

「襲撃で、何もかもが変わってしまいました」とシルバ神父。人形劇を行うのは、「小さな人形やボール、キャンディーなどを使ったシンプルな活動を通じて、子どもたちにささやかな希望と喜びを持ってもらうため」だと言う。その結果、「皆が少しでも幸せになってくれればいい」と続けた。

 映像は5月20、21日撮影。(c)AFP/Susan NJANJI