■深刻な資金切れ問題

 マテセボと首都ポドゴリツァ近郊の町を結ぶ最難関の区間は、11月に開通する予定だ。

 計画では、道路は南部アドリア海(Adriatic Sea)沿岸の港町バール(Bar)と北部のセルビア国境をつなぎ、さらにセルビアが自国の首都ベオグラードまで延ばすことになっている。

 だが、そのための資金をどこから得るのか、そして国内総生産(GDP)49億ユーロ(約6530億円)のモンテネグロがすでに中国に負っている債務をどうやって返済するのかは不明だ。

 AFPが閲覧した契約書によると、返済できなかった場合、モンテネグロは主要インフラの管理権を中国へ譲らなければいけない可能性がある。

 中国は巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の下、小国に払いきれない借金を負わせているとして広く批判されている。経済をてこにして政治的影響力を強める、いわゆる「債務のわな外交」を憂慮する向きもある。

 しかし中国当局は、モンテネグロなど西バルカン地域への融資にはいかなる他意もないと主張している。

 在モンテネグロ中国大使館は4月に発表した声明で「この協力は双方に有益であり、ウィンウィンだ」と述べた。さらに「中国の融資にネガティブなレッテルを貼ることは、中国に対して不当なだけではなく、西バルカン諸国に対する非礼でもある」とけん制した。

 モンテネグロは第1回返済期日を7月に迎える。中国側のこうした主張を検証する欧州初の国となり得るかもしれない。

 連立内閣の設備投資相ムラデン・ボヤニッチ(Mladen Bojanic)氏はAFPに「建設を続ける資金源が見つからなければ、深刻な問題になる」と述べつつ、道路を完成させると明言した。