【6月8日 AFP】世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は7日、新型コロナウイルスワクチンの製造企業に対し、ワクチンの公正な分配を目指す国際的枠組み「コバックス(COVAX)」に新規製造分の先買権を与えるか、製造ワクチンの半数を供給するよう呼び掛けた。

 テドロス氏は記者会見で、貧困国の一部で高齢者や重症化リスクが高い人へのワクチン接種ができていない一方、ワクチンを大量に確保した富裕国の一部では子どもへの接種が始まっていることに対し、いら立ちを表明。ワクチンメーカーはコバックスに注力すべきだと訴えた。

 テドロス氏は、ワクチン接種率を全ての国で今年9月までに10%以上、年末までに30%以上に引き上げるよう呼び掛けている。達成には、9月までに2億5000万回分、6〜7月だけで1億回分の新たな接種が必要だ。

 テドロス氏は今週末開かれる先進7か国(G7)首脳会議(サミット)に言及し、「私はG7に対し、単にワクチン共有を約束するのではなく、6月と7月に共有することを約束するよう呼び掛ける」と表明。「全ての(ワクチン)製造企業に対しても、新規に製造した新型コロナウイルスワクチンの先買権をコバックスに与えるか、今年製造されるワクチンの50%をコバックスに供給することを約束するよう呼び掛ける」と述べた。

 コバックスは貧困国などへのワクチンの公正な分配の確保を目的に設立され、これまでに世界129か国・地域に8000万回分以上のワクチンを供給した。だがWHOによると、この数は目標を約2億回分下回っている。(c)AFP/Robin MILLARD