【6月7日 AFP】ウクライナサッカー協会(UAF)が6日、ロシアに併合されたクリミア(Crimea)半島を含むウクライナの地図を描いた新しい代表ユニホームを発表し、ロシアの怒りを買っている。

 新ユニホームは、新型コロナウイルス流行を受けて延期されていた欧州選手権(UEFA Euro 2020)が今月11日に開幕するのに合わせて発表された。来月11日まで11都市で試合が行われ、ロシア第2の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)も準々決勝など7試合の開催地となっている。

 UAFのアンドリー・パベルコ(Andriy Pavelko)会長は、フェイスブック(Facebook)で青と黄の国旗色のユニホームの写真を公開し、ウクライナ代表選手は「特別なユニホーム」を着用することになると投稿した。

 ユニホームには、クリミア半島と親ロシア分離独立派が実効支配するドネツク(Donetsk)州、ルガンスク(Lugansk)州を国土に含むウクライナの白地図が描かれ、「ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光あれ!」とのスローガンがプリントされている。

 パベルコ会長は、「ウクライナのシルエットが選手たちに力を与えてくれると信じている。選手たちは全ウクライナの代表として戦うのだから」とつづっている。

「ウクライナに栄光あれ!」というスローガンは、2014年に親ロシア派のビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領(当時)の政権を崩壊に追い込んだ民衆蜂起で使われたもの。ロシア政府は、この民衆蜂起を違法とみなしている。同年、ロシアはクリミアを一方的に併合し、ウクライナ東部ロシア語圏の分離独立派を支援した。この紛争ではこれまでに1万3000人以上が死亡した。

 ロシア外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)情報局長は、「ウクライナの領土をロシアのクリミアにくっつけた」とウクライナ代表チームを揶揄(やゆ)。まるで目の錯覚により「あり得ない幻想」を見せる「だまし絵」を連想させるデザインだと述べた。

 また、スローガンについては、ナチス・ドイツ(Nazi)の悪名高いスローガンの「模倣」だということを、欧州選手権を主催する欧州サッカー連盟(UEFA)とファンは「知るべきだ」と主張した。(c)AFP