【6月7日 People’s Daily】5月15日、中国の火星探査機「天問1号(Tianwen-1)」が9か月以上の長旅と、最後のスリリングな9分間を経て、火星着陸に成功した。習近平(Xi Jinping)国家主席は「中国の惑星間探査において重要な一歩を踏み出し、『地球と月の間』から『惑星間』への飛躍を遂げた。火星に中国人の足跡を残したことは、わが国の宇宙事業の発展において新たな記念碑となった」とたたえた。

 天問1号の火星着陸成功は、次への重要なステップの始まりでもある。探査車「祝融号(Zhurong)」が火星の北半球にある「ユートピア平原」で科学調査を行い、火星探査を進めていく。

「天問1号」の打ち上げが昨年7月23日に成功し、中国の地球外惑星探査は新たな章を開いた。今年2月には初めて火星の高精細画像を撮影。そして打ち上げから10か月足らずで着陸を実現し、人類の宇宙事業の歴史に残る偉業を成し遂げた。

 火星探査は大きなリスクが伴う。長距離の惑星間飛行は不確定要素が多く、火星着陸の成功率は50%ほどにすぎない。薄くて不安定な大気、複雑な地形、激しい砂嵐。さらに通信の遅れもあり、火星の大気圏突入から着陸まで、天問1号は「最も困難な9分間」を体験した。中国の探査機が「無傷」で着陸に成功したことは世界を驚かせた。それは、中国の重要技術の卓越性と、昼夜を問わず困難を克服してきたスタッフの信念がもたらしたものだった。

 火星は太陽系の中で地球と似た惑星であり、最も人々の想像力をかき立てる。現在、人類の宇宙活動は太陽、惑星、衛星、小惑星などの天体を対象としている。惑星の探査・研究は人類の活動範囲を広げるだけでなく、地球そのものの誕生の成り立ちを解き明かし、地球外生命体の探索にも重要な影響を与える。

 火星探査は、中国がさらに遠くの惑星や星間に進む第一歩となる。最先端の宇宙技術や新たな探査手法を開発するため、同時に人々の宇宙への好奇心を高めるため、火星探査は大きな「収穫」をもたらすことになるとみられる。天問1号の火星着陸と今後の探査活動は、宇宙技術と惑星探査におけるブレークスルーとなる。中国初の火星探査機「祝融号」の今後の活動は、大いに期待されている。(c)People’s Daily/AFPBB News