【6月6日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2021)男子シングルスで4回戦に進んだスペインのアレハンドロ・ダビドビッチ・フォキナ(Alejandro Davidovich Fokina)は、元ボクサーの父親を持ち、マラソンの世界王者をチームに招集するなど、コート上で一筋縄でいかない存在だ。

 しかし捨て猫や捨て犬について語らせれば、ボクシングの階級ではミドル級の体格をした青年がラケットを置き、ティッシュペーパーに手を伸ばす姿を目にするはずだ。

 4日に今季好調のキャスパー・ルード(Casper Ruud、ノルウェー)との4時間35分の熱戦を制し、全仏で初めて16強入りした世界ランキング46位は、「自分にとって彼ら(動物)はおもちゃじゃない。見捨てられた動物の動画を見ると泣きそうになる」と話す。

 今年4月にダビドビッチ・フォキナは、動物愛好家とスペイン国内の動物保護施設をマッチングするペットの里親募集のサイトAdoptas.orgを立ち上げた。

 ダビドビッチ・フォキナは、動物的本能を呼び覚まして大会第15シードのルードを7-6(7-3)、2-6、7-6(8-6)、0-6, 7-5で退けた。最後のサービスゲームは16分にもおよび、5度目のマッチポイントで試合を締めた。

 ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)の元ジュニア王者は、2020年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2020)でも16強入りしており、四大大会(グランドスラム)初の準々決勝進出を懸けて6日にフェデリコ・デルボニス(Federico Delbonis、アルゼンチン)との4回戦に臨む。

 グランドスラム8強に到達した場合、自身をリングという同じ舞台に進ませることなく、わずか2歳でテニスの道に導いた父親のエドゥアルド(Eduard)さんに感謝しないわけにはいかないだろう。

 また、1995年の世界選手権(World Championships in Athletics)で優勝したスペインマラソン界のレジェンド、マルティン・フィス(Martin Fiz)氏は、特にエネルギーの消耗が激しいクレーコートの攻略における重要人物だ。

 ホルヘ・アギーレ(Jorge Aguirre)コーチの要請に応じてチームに加わったフィス氏は、ダビドビッチ・フォキナの精神的なアプローチに力を割いている。(c)AFP/Dave JAMES