【6月5日 AFP】トルコ・イスタンブールが面するマルマラ海(Sea of Marmara)で、藻類が生み出す「海の鼻水」と呼ばれる粘液が大量発生し、海洋生物を脅かしている。粘液はどろどろした茶色い泡となって海面を覆い、地元住民からは不安の声が上がっている。

 粘液の発生は自然現象で、トルコでは2007年に初めて確認された。この年には、ギリシャ近くのエーゲ海(Aegean Sea)の一部でも同様の現象が発生。ただ今回の大量発生は観測史上最大で、専門家は環境汚染と地球温暖化が重なることで、原因となる藻類の成長が加速したと指摘している。

 地元漁師の男性(42)は、この現象により漁に支障が出ているとし、「ここらの巻き貝は全滅した」と語った。

 イスタンブール大学(Istanbul University)のムハッレム・バルチ(Muharrem Balci)教授(生物学)は、今年のように春に藻類が大量発生すると、海中への太陽光が遮られ、魚などの海洋生物は酸素不足に陥ると説明している。

 バルチ氏によると、「海の鼻水」は温暖な気候と水質汚染を好む藻類の栄養過多によって引き起こされる。同氏はここ40年の間、水質汚染が徐々に悪化してきたと指摘。長期的な解決策としては、海洋の適切な監視に加え、周辺の都市や工業地帯の廃棄物処理システムの整備が必要だという。(c)AFP/Fulya OZERKAN