【6月4日 AFP】17歳のアイン・フスニザ・サイフル・ニザム(Ain Husniza Saiful Nizam)さんは、どこにでもいる普通の女子高生だった。しかし、体育の授業で教師がレイプを冗談の種にしたことを、動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」で非難したことをきっかけに、マレーシアにおけるスクールハラスメント告発の旗手となった。

 アインさんのティックトック動画に触発された何千人もの生徒たちが、学校で教師や他の生徒から精神的・身体的な嫌がらせを受けた悲惨な体験を告白した。大きな反響を呼んだことに刺激されたアインさんは、オンラインキャンペーン「#MakeSchoolASaferPlace(学校を安全な場所にしよう)」を立ち上げた。

 一方、ソーシャルメディアでは激しい反発も起こった。レイプしてやるという脅迫を受け、退学処分の警告も届いた。

「この問題について話したら悪意をぶつけられたけれど、なぜか分からない」とアインさんはAFPに語った。「学校をもっと安全な場所にしようというだけなのに。どんな議論の余地があるというのだろう」

 ネガティブな反応は、マレーシアの教育制度にはびこる少女に対する不当な扱いと闘うというアインさんの決意を強くしただけだった。「学校での虐待の連鎖をそのままにはできない」

 すでに再生回数180万回を超えた動画をアインさんが撮影したのは、今年4月だった。アインさんは、男女混合の体育の授業でハラスメントを防ぐ方法について話し合っていた際の男性教師の、おそらく冗談のつもりだったのであろう発言にショックを受けた。

 この教師は、未成年者を性的虐待から守る法律があると説明し、レイプをしたい男子生徒は、18歳以上の女性を狙うようにと言ったのだった。

「先生は本当にそう言い、女子は静まり返った」と動画でアインさんは語った。「でも男子は、誰かをレイプすることについての冗談が最高に面白いかのように笑っていた」