【6月4日 AFP】インド南部カルナタカ(Karnataka)州ベンガルール(旧バンガロール、Bangalore)郊外にある火葬場で、つぼ数十個が引き取り手もなく放置されている。白い布に包まれ、番号シールだけが目印となっていた。

 骨つぼは2日、カーベリ(Cauvery)川の岸辺に運ばれ、同じく引き取り手のない遺骨とともに水葬された。こうした引き取り手のない骨は、新型コロナウイルスによる死者のもので、計1200柱に上る。

 川辺の壇上に置かれた骨つぼには赤い花が散らされ、黄色いマリーゴールドの花輪が掛けられていた。州高官が遺骨の第1陣を川に沈めると、残りのつぼは公務員が沈めた。

 インドは新型ウイルス流行の第2波に見舞われており、死者はこの8週間で16万人に上る。医療現場も火葬場も逼迫(ひっぱく)している。

 ヒンズー教では聖なる川の流れに遺骨を沈めたり、まいたりすることで、故人の魂が解放されると信じられている。しかしベンガルールでは遺骨の引き取りに来ない家族が多数ある。

 貧しさのために儀式を行うことができない家族もあれば、ひっきりなしに火葬が行われている葬儀場での感染を恐れている家族もいる。中には事情があって引き取りに来られなかった家族もあった。

 ベンガルールの火葬場で働く請負業者はAFPに対し、「一家族で2~3人が新型ウイルスで亡くなった可能性があると、感染を恐れて(遺骨を)引き取りたがらない人もいる」と語った。(c)AFP