【6月4日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は3日、女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)が全仏オープン(French Open 2021)期間中の記者会見を拒否し、その後大会を棄権したのは「勇敢」であると称賛するとともに、この問題に関する大会側の対応を批判した。

 四大大会(グランドスラム)で通算4度の優勝を誇る23歳の大坂は、自身の精神衛生を損なうことを理由に現在開催中のローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)で義務付けられているメディア対応を拒否し、罰金を科されたほか失格の可能性もあると通告された後、先月31日に大会を棄権した。

 F1の現世界王者であるハミルトンは、今週末に行われる第6戦アゼルバイジャンGP(Azerbaijan Grand Prix 2021)に向けた会見で、「実際のところ、若手はスポットライトに投げ出されることをかなりの重荷に感じるし、大半がその場での準備ができていない」と話すと、モータースポーツでキャリアを開始したばかりのルーキー時代の苦い経験として「自分もF1の世界に入ったときチームのPR活動に参加したけれど、カメラの前に投げ出される準備がまるでできていなかったし、メディア対応において注意すべきことや悪影響への対処法に関して指導を受けたことはなかった」と明かし、大坂に同情を寄せた。

「過ちから学ぶこともあるけれど、それはとてつもなく神経をすり減らすものだ。特に良かれと思ってやったことに、周囲は付け入ってくる」

 さらに「彼女は立派だと思うし、その勇敢さに拍手を送りたい。権力側にはやり方を考えてもらいたい。なぜなら、今回の問題に関する彼らの対応は良くなかったからだ」と強調したハミルトンは、「個人的な心の健康について話している人に対し、罰金を科すなんてクールじゃない」とし、「彼らにはもっと良いやり方があったはずだ。これからこの問題を深く掘り下げ、将来的にもっと良い道筋を見いだしてくれることを願っている」と訴えた。

 また、アスリートは「限界まで突き進んで極限状態にいると同時に人間でもある」と話したハミルトンは、「なおみが個人的な健康問題で何かをするときに気持ちが不安定になっていたのに、そのことを批判するなんてばかげている」と大坂を擁護。

 そして「人々は彼女が一人の人間であることや、今は何かをするのに万全な状態ではないと話していることを考慮していない」とし、「必要なのは彼女を後押ししたり持ち上げたりするよりも、本人の状態をよく見て人々がどう対応するかだと思う」と語った。(c)AFP