【6月4日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の側近らが、バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)の事務職について、少なくとも1960年代末まで「有色人種の移民や外国人」の雇用を禁じていたことが、文書記録から明らかになった。英紙ガーディアン(Guardian)が2日、報じた。

 同紙によると、女王と王室は人種差別と性差別を禁じた1970年代の法律の適用免除措置も取り付けており、免除は現在も続いている。

 同紙は国立公文書館(National Archives)に保管されていた文書記録を引用し、1968年に女王の財務責任者が雇用方針について政府高官に説明したことがあったとしている。

 文書には、同責任者が「有色人種の移民や外国人」を事務職などに任命することは慣行ではなく、「有職人種の応募者」の採用が検討されるのは「一般的な家事などの職」のみだと話したと書かれていた。

 同紙によれば、この方針がいつまで続いたかは不明だが、バッキンガム宮殿は1990年代には有色人種の職員の雇用記録があったと明かしている。

 これについて王室報道官は、「50年以上前の会話に関する間接的な記録に基づいた主張は、今日の出来事や運営に関する結論や臆測に用いられるべきではない」とする声明を出した。

 今回の報道を受け、英王室で過去に取り沙汰された人種差別問題に再び注目が集まるとみられている。

 3月にはヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)夫妻が、誕生前だった第1子の肌の色について、ある王室メンバーが懸念を示していたと暴露。これを受け、ヘンリー王子の兄のウィリアム王子(Prince William)は記者らに対し、英王室は決して人種差別主義ではないと断言していた。(c)AFP