【6月6日 CGTN Japanese】黄河の南岸に広がるクブチ砂漠では、近年、洪水対策と生態修復の両立をはかる試みが始まり、着実に成果を挙げています。

 内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)オルドス市に位置する杭錦(ハンギン)旗には、黄河が約249キロにわたって境内を流れ、その中の約200キロとほぼ平行するように、クブチ砂漠が横たわっています。

 冬に凍結する黄河は、春には雪解けとともに上流から流れ込む流氷の被害、夏には集中的な雨による洪水予防が毎年の課題となっています。中でも、120日間も続く冬の洪水対策期間では、約14.4億立方メートル相当の水が杭錦旗内にとどまることになります。

 これらの水を砂漠の生態修復に生かせるよう、杭錦旗は実地探査と検証作業を経て、2014年から黄河の管理当局の許可を得て、冬の増水期の水、合計して約3.1億立方メートルをクブチ砂漠に引き入れました。これにより、砂漠の中に約20平方キロメートルの水面と約60平方キロメートルの湿地が出来上がり、植物20種類余り、鳥類10種類以上が観測されています。

 中国には、1950年代に黄河の水を灌漑(かんがい)用に引き入れ、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)や内モンゴル自治区で穀倉地帯をつくり出した実績があります。しかし、不適切な灌漑方式と排水システムの不備により、一部地区では土壌の劣化現象が起きています。今回砂漠対策としての黄河の水利用では、引き入れると同時に、水が黄河に還流するための水路網も整備されていることが特徴です。

 今後は、クブチ砂漠の奥地にある景勝地、約115ヘクタールの水面を有す「七星湖」につなぎ、黄河の遊水地域と連係する水循環システムの整備により、約300平方キロメートルの湿地の形成を目指します。こうした取り組みにより、クブチ砂漠の砂が黄河に流れこむことが効果的に防げる効果が期待されているということです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News