【6月3日 AFP】バングラデシュの警察はこのほど、絶滅が危惧されるベンガルトラ約70頭を殺したとして、密猟の疑いで20年間指名手配されていた男を逮捕した。

 地元警察のサイドゥル・ラーマン(Saidur Rahman)署長によると、「タイガー・ハビブ」の異名を持つハビブ・タルクダー(Habib Talukder)容疑者(50)は、警察の強制捜査を常にかいくぐっていた。

 タルクダー容疑者は、ベンガルトラの世界最大の生息地の一つとなっている、インドとバングラデシュにまたがる広大なマングローブ群生地、スンダルバンス(Sunderbans)で密猟していた。

 ベンガルトラの毛皮、骨、肉は闇市場で業者に売られ、中国などに輸出される。

 タルクダー容疑者は、もともとスンダルバンスで野生のハチの蜜を集めて暮らしていた。トラの密猟と指名手配を逃れ続けたことで、地元の生ける伝説となっていた。

 ある地元民は、「われわれはタルクダーを尊敬する一方で、恐れてもいる」と語った。「タルクダーは、森で一人でトラと戦うことができる危険な男だ」

 バングラデシュ森林局(DoF)によると、ベンガルトラの生息数は2004年の440頭から、2015年には過去最低となる106頭にまで減少した。だが、域内での密猟と山賊の取り締まりにより、2019年には114頭まで回復した。(c)AFP