【6月2日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)政権は1日、アラスカ州の北極圏国立野生生物保護区(ANWR)での石油開発計画を一時停止すると発表した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権が昨年認めた方針が覆される可能性が出てきた。

 内務省は声明で、包括的環境レビューを実施し、ANWR内の土地の貸与について「再許可もしくは無効、または追加緩和策」のいずれかの措置を決定するため、その間、計画を凍結すると企業に通知したと述べている。

 今回の決定は、長年議論となっていたANWR内での採掘を目指す石油各社に打撃を与えるもの。トランプ政権は昨年11月、大統領選でバイデン氏に敗退した直後にANWR内の土地の賃貸計画を認めると発表していた。

 米当局は今年1月、約160万エーカー(約65万ヘクタール)の土地を11区画に分け入札を実施。大手は入札に参加せず、9区画をアラスカ産業開発輸出公社(Alaska Industrial Development and Export Authority)が、2区画を小規模石油会社が落札した。

 バイデン氏は大統領選で、ANWRの保護を公約に掲げていた。

 環境保護活動家らは長年、ホッキョクグマなど野生動物および、カリブー(トナカイ)を狩り生活している先住民の保護には、ANWRの保全が必要不可欠だと主張している。

 一方、石油業界は長年にわたり、膨大な石油が埋蔵されていると思われるANWR内での採掘を求めてきた。共和党のリサ・マカウスキ(Lisa Murkowski)上院議員らアラスカ州の有力政治家は、ANWRでの石油開発を強く支持している。(c)AFP/John BIERS