「世界有数の銀行強盗」 北朝鮮ハッカー集団の脅威
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■暗号資産の分散型ネットワークは北朝鮮に好都合
ほとんどの国家が支援するハッカー集団の目的は主に諜報活動だが、北朝鮮が特異なのは、サイバー能力を金銭的な利益を得るためにも応用しているところだと専門家は指摘する。
北朝鮮は、新型コロナウイルス対策で国境を封鎖し、経済的に逼迫(ひっぱく)している。
長年、さまざまな方法で外貨獲得に努めてきた。
「盗みはビジネスよりも数段早く、おそらくもっともうかる」とウイリアムス氏は言う。「特に、腕の立つハッカーがいる場合は」
2月に米国に起訴された北朝鮮人の3人は、金融機関や企業へのサイバー攻撃で計13億ドル(約1400億円)を盗んだとされる。
起訴する際にジョン・デマーズ(John Demers)司法次官補は、北朝鮮の工作員を「世界有数の銀行強盗」と評した。「銃ではなくキーボードを使い、現金袋の代わりに暗号通貨のデジタルウォレットを盗む」
ビットコイン(Bitcoin)などの暗号通貨の台頭は、世界中のハッカーに、うまみのあるターゲットをもたらした。
さらに、暗号資産の分散型ネットワークは、北朝鮮が金融制裁をかいくぐるには好都合だとサイバーセキュリティー会社クラウドストライク(CrowdStrike)のスコット・ジャーカフ(Scott Jarkoff)氏は指摘する。
「(暗号資産のネットワークなら)北朝鮮は、世界の銀行システムの管理を受けず、簡単に資金洗浄して本国に送金できる」とジャーカフ氏は続けた。「暗号通貨が魅力的なのは、管理されず、国境も関係なく、比較的匿名性が高いからだ」 (c)AFP/Sunghee Hwang