【6月1日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2021)期間中の記者会見を拒否し、その後31日に大会を棄権してテニス界を揺るがせた大坂なおみ(Naomi Osaka、23)は、急激にトップに上り詰める中で戸惑いを感じることもあった。

 禅のような精神力を持ち、コート内外での存在感が増した大坂は、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)と肩を並べる世界的な女子アスリートの一人に成長。試合を離れたときに見せる物腰の柔らかさと、コート上で見せる王者に共通の強さとが相まって、独特の存在となった。

 しかし、仏パリで現在開催中のローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)ではメディア活動への参加を拒否したことが物議を醸した。1万5000ドル(約165万円)の罰金を科され、失格の可能性も示唆されると、わずか1試合プレーして大会からの棄権を表明し、テニス界に衝撃を与えた。

 大坂はメンタルヘルスの問題に苦しんでいたことや、絶えず自信喪失にさいなまれていたことを明かし、「真実を話すと、私は2018年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2018)以来、長期のうつに苦しんでおり、これに対処するのに本当に大変な思いをしてきた」と告白。「パリではすでに弱い気持ちや不安があったため、自分をいたわり、会見に参加しない方が良いと思った」と説明した。

 世界が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)に襲われている中で、大坂は米国における人種差別との闘いでも声を上げるリーダー的存在となった。昨年の全米オープンでは、国内で警察の暴力や人種差別の犠牲になった人々の名前が刻まれたマスクを着用してコートに登場した。

 普段はかなり内向的でスポットライトに戸惑いを見せる大坂だが、名声を得るにつれて自身の影響力を生かし、世間で問題になっている話題にも発言をするようになった。