【6月13日 AFP】セネガルの首都ダカール郊外の騒々しい陸橋の下で、マム・モル・アンタ・リー(Mame Mor Anta Ly)さん(40)は明け方、栗毛の馬を洗う。

 周りでは馬数十頭が、ドラム缶やさびたバスタブを使った即席の飼い葉おけから餌を食べている。

 リーさんは、鉄の棒や袋入りのセメントを馬車で運ぶ日雇いの仕事を待つ御者だ。「一日中、待つだけの時もある」

 セネガルでは、馬と一緒に仕事を求め、ダカールにやってくる地方出身者が増え続けている。リーさんもその一人だ。

 人口350万人のダカールの至る所に馬の姿がある。馬車は車で渋滞する通りを抜け、砂っぽい狭い路地になんとか滑り込む。

 最近では、人や物を安く運ぶだけではなく、行政が対応していない地域のごみ回収の仕事も増えている。

 セネガル畜産省のウマ科動物開発部門の担当者によると、首都での馬車の仕事は、収穫期以外ほとんど収入がない農村部の貧困層の生命線となっている。ダカールで働く馬車の御者は約7000人で、増加傾向にあるという。

 馬車はダカールの風景の一部となってはいるものの、車の運転手や自治体からは、渋滞と事故の原因となる「邪魔者」だとみなされている。畜産省によると、将来的に自治体が馬車を禁止する可能性もある。

 セネガルは貧困国で、世界銀行(World Bank)によると、人口1600万人のうち約40%が1日当たり1.9ドル(約200円)未満で暮らしている。

 複数の御者によると、顧客を見つけることができれば、1日当たりの稼ぎは8~12ドル(約870~1300円)と比較的良い方だ。しかし、馬の餌代を支払うと手元にはほとんど残らないと、御者らは話す。(c)AFP/Emmet Livingstone