【6月1日 AFP】世界保健機関(WHO)の加盟国は5月31日、感染症のパンデミック(世界的な大流行)への対応で中心的役割を果たすWHOを強化することで合意した。将来の感染症流行への対処能力を高めるため、より安定した資金源をWHOに提供する。

 オンライン形式で開かれ、この日最終日を迎えたWHO年次総会で、加盟194か国は14ページにわたる決議案を採択。世界的に懸念される可能性のある疾病の発生を「迅速かつ適切に判断するWHOの能力を強化する」ことでも合意した。

 WHOに与えるべき権限の範囲については議論が続いており、具体的な措置の多くについては決定が見送られた。だがWHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、今回の決議を「歴史的」と歓迎した。

 年次総会に調査報告書を提出した3つの独立委員会は、国や機関の新型コロナウイルス流行への対応準備が著しく不足していたと指摘。将来の感染症流行を回避するため、世界的な警報システムの全面的な見直しと、WHOの能力と独立性の強化を求めた。

 数日間の議論の末、加盟国は報告書で示された多数の勧告を精査する作業部会の新設でも合意。作業部会は、来年の年次総会で検討する具体的な提言をまとめる。

 一方、決議案は加盟国に対し、「十分かつ柔軟、持続可能、予測可能なWHOの事業予算を確保」するよう求めた。WHOの予算のうち、加盟国の分担金はわずか約16%で、残りは用途が細かく指定された任意拠出金で賄われている。

 加盟国はさらに、今後のパンデミックに備えるための国際条約の作成に向け進むかどうかの議論を、今年11月まで先延ばしすることを決定した。(c)AFP/Nina LARSON