■「衆人環視」を避けた決定

 現在、欧州連合(EU)に救済を要請しているボヤニッチ氏は野党時代、この道路建設はリスクが高く無謀だとして反対していた。

 汚職まみれの事業だと非難する活動家らもいる。選ばれた地場下請け業者の3分の1以上は、ミロ・ジュカノビッチ(Milo Djukanovic)大統領率いる旧与党、社会主義者民主党(DPS)にコネを持っていた。

 公開入札も行われず、支払金額と実際の作業の相関関係が不明だと、汚職監視団体「MANS」は指摘する。MANS調査部門ディレクター、デヤン・ミロバック(Dejan Milovac)氏は「建設に関する決定は、不当にも衆人環視を避けて行われた。今、そのツケが回ってきた」と言う。

 政府はあらゆる汚職の申し立てを調査すると約束している。

 さらなる問題は環境破壊だ。マテセボ付近を流れる川の一部は国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)によって保護されているが、道路工事で荒廃した。工事を担当した中国企業は、修復のための資金供出に同意している。