【5月30日 AFP】30日に開幕する全仏オープンテニス(French Open 2021)の女子シングルスでは、前回女王のイガ・シフィオンテク(Iga Swiatek、ポーランド)が、女子ではセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)が2016年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)で達成してから実現していない、四大大会(グランドスラム)の連覇に挑む。

 シフィオンテクはイタリア国際(Internazionali BNL d’Italia 2021)決勝でカロリーナ・プリスコバ(Karolina Pliskova、チェコ)をわずか46分で粉砕し、7か月前に旋風を巻き起こした全仏へ女王として戻ってくる。間もなく20歳の誕生日を迎えるシフィオンテクは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響により、約4か月遅れで開催された昨年の全仏で優勝し、女子では最も低い当時世界ランキング54位での全仏チャンピオンとなった。

 全仏優勝がツアー初タイトルだったのは、2017年のエレナ・オスタペンコ(Jelena Ostapenko、ラトビア)と同じだが、オスタペンコが安定した成績を残せずにいるのに対し、シフィオンテクはトップレベルに長くとどまれる力を持っているようにみえる。前週には初めて世界ランキング10位以内に入った。

 一方、シフィオンテクの主なライバルには、クレーで調子が上がらなかったり、負傷していたりする選手が多い。

 大坂なおみ(Naomi Osaka)は、ポテンシャルからいえば今大会で成績を残せる可能性があるが、グランドスラム4勝を含むこれまでのツアー7勝は全てハードコートで挙げている。今季もクレーではマドリード・オープン(Mutua Madrid Open 2021)とイタリア国際(Internazionali BNL d’Italia 2021)で早期敗退。全仏では4回の出場で3回戦進出が最高となっている。

 また大会前に、精神面への悪影響を理由に記者会見をボイコットすると表明したことも物議を醸している。

 世界1位のアシュリー・バーティ(Ashleigh Barty、オーストラリア)は、昨季は海外遠征に伴う健康リスクを考慮してシーズンをほぼ全休し、全仏のタイトルも明け渡した。今季は3勝を挙げ、マドリード・オープンでは決勝に進出したが、イタリア国際では腕の負傷により準々決勝の途中で棄権しており、体調面の不安が残る。

 39歳になるセレーナは、全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2021)後の3か月の休養を経て今月復帰したが、クレーで3試合を戦って1勝しかできていない。マーガレット・コート(Margaret Court)氏のグランドスラム史上最多24勝まで、依然としてあと一つに迫っているセレーナだが、全仏では準優勝した2016年以降、ベスト16の壁を破れずにいる。

 コーチを務めるパトリック・ムラトグルー(Patrick Mouratoglou)氏も、セレーナが今大会で2017年の全豪以来となるグランドスラム制覇を果たす可能性は低いだろうと認めている。(c)AFP