【5月30日 AFP】コロンビア第3の都市カリ(Cali)で28日夜、反政府デモの市民と警察が衝突し、少なくとも13人が死亡した。一連の抗議行動による死者は少なくとも59人になった。政府は29日、軍をカリに派遣し、治安対策を強化した。

 28日の衝突を受け、人口約220万人のカリでは通りから市民の姿がほぼ消えた。バリケードの残骸やがれきの山から上る煙が、激しい衝突だったことをうかがわせている。

 コロンビアでは、イバン・ドゥケ(Ivan Duque)政権に対する抗議行動が1か月以上続いている。カリでは、コロンビアの他地域と同様に、貧困とコロナ禍によって人々の間に怒りや恨みが広がっている。

 当局によると、一連の抗議行動による死者は、カリでの13人を含めて少なくとも59人に上った。国防省は、負傷者は民間人と治安要員を合わせて2300人を超えたとしている。

 抗議デモがより大きな反体制運動へと姿を変えている中、28日からカリにいるイバン・ドゥケ(Ivan Duque)大統領は、警察を支援するためカリなどに軍を派遣していると述べた。

 経済学者らによると、コロンビアでは総人口約5000万人の42%以上が貧困に苦しんでいる。もともと経済的に弱い立場にあった人の多くが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)によって厳しい貧困に陥った。

 4月28日、増税案に怒った人々が路上に出てデモを始めた。増税案はすぐに撤回されたものの、これを機に大勢の人がデモに参加するようになった。治安部隊による強硬な対応にもかかわらず、抗議行動の勢いは増し続けている。(c)AFP