【5月28日】フィリピン農村部の町長が、ためらう住民に新型コロナウイルスワクチンの接種を促そうと、「抽選で牛が当たる」キャンペーンを考え付いた。

 北部パンパンガ(Pampanga)州サンルイス(San Luis)町のジェーソン・サグム(Jayson Sagum)町長はAFPに対し、7月以降に新型コロナワクチンを接種を受ければ約3万ペソ(約7万円)相当の牛が、毎月1人に当たる抽選に参加できると語った。

 牛が当たるキャンペーンは、1年間にわたって行われる。町長は、これだけの期間があれば、人口約6万のサンルイスのほとんどの成人が接種を終えられると見積もっている。

「目標達成のためには、戦略を考えなければならない。フィリピン人は賭け好きだ」と町長は述べ、景品となる牛そのもの、あるいはその購入費用の提供者を探していると続けた。

 町長によると、ワクチンの接種を受けた町民は3%にとどまっているが、主にワクチンの供給不足が理由だという。世論調査によると、同町の高齢者の約半数が、副反応に関する報道を受けてワクチン接種に不安を感じている。

 町側は接種を促すために現金や食品の詰め合わせ、宝石を景品とすることも検討していた。しかし、稲作や、カモやティラピアの養殖に従事する住民が多いこの町では、牛を景品とするのがふさわしいと判断した。町長は、「牛は私たちにぴったりだ」と述べた。

 抽選会の様子は、ソーシャルメディアで生中継される。景品の牛は、自分の農場で使役しても、食肉処理して近隣住民と分かち合ってもいいという。(c)AFP