【5月27日 AFP】スパイ容疑で中国当局に2年以上にわたって拘束されているオーストラリア国籍の作家で学者のヤン・ジュン(楊軍、Yang Jun)氏(56)の裁判が27日、北京の裁判所で始まった。裁判は非公開で、豪大使らの傍聴が拒否されたことから、豪政府は透明性が欠けているとして深い懸念を示している。

 ヤン氏は中国生まれで、ヤン・ヘンジュン(楊恒均、Yang Hengjun)名義で文筆活動をしている。

 ヤン氏が無実を主張し、拘束中の拷問を示唆する手紙が裁判に先立って公開されており、マリス・ペイン(Marise Payne)豪外相は27日、中国の対応に深い懸念を表明。「起訴事実について、わが国は説明を一切受けておらず、証拠も見ていない」と公共ラジオ局ABCに述べ、豪外交官の傍聴が認められる「透明性」のある裁判になることを願っていたと語った。

 グレアム・フレッチャー(Graham Fletcher)駐中国豪大使は27日、裁判所に出向いたが、傍聴を拒否された。フレッチャー氏は、「かねて透明性の欠如などを懸念していた。したがって、この一件は恣意(しい)的な拘束だと結論付けた」と報道陣に話した。

 一方、中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は、記者会見で「豪国籍のヤン・ジュン被告の事件は、国家機密に関わる問題だ。法律に基づいて公開裁判は行われず、傍聴人も入れない。これは全く合法的で、合理的なことだ」と反論した。判決は後日言い渡されるとしている。(c)AFP