【5月29日 Xinhua News】中国湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の東湖畔にある湖北省博物館文物保護部では、方国栄(Fang Guorong)さん(62)と息子の方晨(Fang Chen)さん(33)が青銅製の楽器「曽侯與編鐘(そうこうよへんしょう)」の修復作業を行っていた。3Dスキャンや模型の接合、デザイン補完、模型の修正などに2年を費やしたが、間もなく完成するという。

 方国栄さんは、青銅器修復に携わり40年余りになる。これまで数回実施された「曽侯乙(いつ)編鐘」複製プロジェクトで技術面の責任者を務めるなど、同省の青銅器修復の専門家となっている。

 方晨さんは2009年に父親の「弟子」となり、厳しい薫陶を受けてきた。5年に及ぶ父の熱心な指導を経てようやく一人前となり、今では幾つかの修復作業を独立して行うようになった。

 曽侯乙編鐘が出土した同省随州市(Suizhou)は、ここ10年余りで春秋時代の諸侯国、曽国に関する考古学的発見が相次いでいる。09年に同市の文峰塔M1号墓から出土した曽侯與編鐘は、現存する8点のうち、6点は完全な状態だが、2点は破損して修復不能だった。同編鐘は、曽侯乙編鐘よりも約100年早い約2500年前に製造されたとされる。

 現在修復中の2号甬鐘(ようしょう)は、曽侯與編鐘の中でも最も大きく、重いが、出土時は破損がひどく、八つの破片しか残っていなかった。

 方国栄さんは「欠損や変形が激しい破片も3Dスキャン技術や3Dプリント技術を用いることで修復できた。古い世代にはできないことで、これこそ若者が持つ優位性だ」と語った。

 今では方晨さんが父からバトンを受け継ぎ、青銅器修復事業に人生を捧げるべく努力している。(c)Xinhua News/AFPBB News