コロナ禍で孤児急増、偽装縁組と人身売買の闇 インド
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■オンラインで寄せられる悲惨な実態
先月は、コロナ感染が疑われた女性の遺体の脇で、乳飲み子が見つかったと報じられた。遺体は死後約48時間たっていた。
コロナ感染によるインドの死者数は公式統計で33万人を超えているが、実際ははるかに多いとみられている。医療機関は逼迫(ひっぱく)しており、診療を受けずに亡くなる人が多数いるからだ。
「何人死んでいるのか分かりません。まして、孤児になった子どもが何人いるのかも」。こう語るサイバーセキュリティー専門家のアカンチャ・スリバスタバ(Akancha Srivastava)氏は、子どものためのコロナ関連ヘルプラインを立ち上げている。
ソーシャルメディア上には、母親を亡くした乳幼児のために母乳や食事の支援を呼び掛ける訴えが投稿されている。だが、中にはソーシャルメディアを通じて違法な養子縁組に出される子どももいる。
スリバスタバ氏のヘルプラインには、少なくとも1日300件の問い合わせやメッセージがある。「当局には過剰な負担がかかっており、人々は窮地に立っています。こういう状況で、軽はずみに人身売買や闇の養子縁組に子どもを出してしまうのです」
インドの法律では、親を亡くした子どもは、引き取る親族がいない場合、職員付き添いの下、施設に入る。
一方、新型コロナで親を失った孤児を養子にするという非公式な接触は「罠(わな)」であり「違法」だと、女性・児童育成相のスムリィティ・イラニ(Smriti Irani)氏は警告する。
AFPはメッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」を通じ、2歳の女児と生後2か月の男児を養子にしないかと持ちかけられた。「バラモンの子どもたちだ」とあり、ヒンズー教の身分制度のカーストで上位に属する出自であることを示していた。だがその後、連絡先の電話番号は抹消され、当局が捜査している。