【5月27日 AFP】フランス・パリの裁判所は26日、新型コロナウイルスの流行を中国人のせいにする反アジア的なツイートを投稿し、インターネット上で人種的憎悪をあおったとして、4人の学生に有罪判決を下した。

 19~24歳の被告4人は前科はなく、2日間の公民教育の受講、および被害者7人に対するそれぞれ250ユーロ(約3万3000円)の損害賠償、さらに最大1000ユーロ(約13万円)の罰金の支払いを命じられた。

 なお、5人目の被告だった学生は無罪となった。

 新型ウイルスの流行は中国から始まったため、欧米諸国では反アジア感情の高まりが懸念されている。

 この学生たちは、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が新型ウイルス対策として昨年10月29日に厳格な外出制限の第2弾を発表した後にツイートを投稿した。

 このうち一人が「中国人と一緒に、おりに入れてほしいものだ。彼をいたぶり、破壊し、自分の前で彼の目からすべての希望が消えていくのを見たい」と記したツイートは、3月に開始された裁判の冒頭で読み上げられた。

 これを受け、ツイッター(Twitter)上では対抗して「#私はウイルスではない(#JeNeSuisPasUnVirus)」「憎悪のウイルスをまき散らすな(#StopAuVirusDeLaHaine)」といったハッシュタグが登場。裁判所前で抗議活動も行われた。

 判決文によると、4人は「出自を理由にした人格攻撃に自主的に加わるよう民衆を扇動した」ことで有罪となった。

 在仏中国人青年協会(Association of Young Chinese People in France)の弁護士ソク・ラム(Soc Lam)氏はこの判決について、裁判所がネット上のヘイトスピーチに真剣に取り組んでいることを示しており、歓迎すると表明。ただし今回の処罰は「極めて象徴的で軽い」ため、ヘイトスピーチを「続ける人もいるだろう」とも指摘した。(c)AFP