【5月27日 AFP】イタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)は26日、チームを11シーズンぶりのリーグ制覇に導いたアントニオ・コンテ(Antonio Conte)監督との契約を解消したと発表した。

 野心家であるコンテ監督は、国内や欧州で挑戦するためのチーム作りの妨げになるとして、中国の小売り大手でオーナーの「蘇寧(Suning)」グループが計画していたコスト削減を拒否していた。

 ユベントス(Juventus)やイングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)を率いた経験を持つコンテ監督は、2019年5月にインテルと3年契約を結び、年俸は1200万ユーロ(約16億円)と報じられていた。

 しかし、インテルは「アントニオ・コンテとの間で、双方合意の上契約を解消することで同意した」と認め、51歳の指揮官は1年早くチームを去ることになった。

「アントニオ・コンテは永遠にわれわれの歴史の一部であり続ける」

 コンテ監督の最終年の年俸は約1200万ユーロだったが、今回の契約解消によってインテルは700万ユーロ(約9億3000万円)を支払うことになると報じられている。

 契約の一環としてコンテ監督は、来季セリエAの他のチームを指揮することが認められていないという。

 コンテ監督の後任候補にはラツィオ(SS Lazio)のシモーネ・インザーギ(Simone Inzaghi)監督や、ユベントス復帰もうわさされているマッシミリアーノ・アレグリ(Massimiliano Allegri)氏の名前も挙がっている。

 一方のコンテ監督は今後、イングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)やスペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)といったクラブを率いることになるかもしれない。

 昨シーズン、主に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を理由に1億ユーロ(約133億円)の損失を計上したインテルは5日前、米国の投資会社オークツリー・キャピタル(Oaktree Capital Management)から2億7500万ユーロ(約366億円)相当の資金調達を取り付け、融資の期間は3年だと伝えられている。

 蘇寧グループは今年2月、中国スーパーリーグ(1部)で優勝を果たしたばかりだった江蘇FC(Jiangsu FC)の運営を停止させていた。

 こうした状況の中、新戦力の補強と給与をできるだけ節約したいと考えている蘇寧側は、場合によっては市場価値が最も高い選手を売却することになるかもしれず、コンテ監督にとってそれは受け入れられないものだった。(c)AFP/Emmeline MOORE