【5月27日 AFP】中国が外交儀礼の問題を理由に同国軍トップと米国防長官との電話会談を拒否していると報じられたことについて、国防総省のジョン・カービー(John Kirby)報道官は25日、米側は引き続き接触を試みていると明らかにした。

 英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、ロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官が中国側に3回にわたって電話会談を申し入れたが、いずれも拒否されたと伝えた。この報道自体は否定されていない。

 共産党機関紙・人民日報(People's Daily)系の環球時報(Global Times)によると、オースティン氏は中国の魏鳳和(Wei Fenghe)国防相だけでなく、中央軍事委員会の許其亮(Xu Qiliang)副主席とも接触を試みた。同委は中国軍を監督する共産党の機関で、許氏は強大な権力を持つ。

 同紙は、中国は米との軍事協議に応じる用意があるものの、オースティン氏が習近平(Xi Jinping)国家主席に近い許氏との接触を試みたことは「外交儀礼と国際社会の慣行を無視した、職業上の道義にもとる非友好的な行為だ」と指摘した。同紙の報道には、政府の見解が反映されていることが多い。

 カービー報道官は、オースティン氏が中国軍トップと接触できていないことを認めた上で、米国は対話を希望しており、どのような形で実現できるかを現在も検討していると説明した。

 米中の国防関係は、2018年6月にジェームズ・マティス(James Mattis)元国防長官がより良い連絡ルートの開設を協議するため北京を訪問して以降、大きく後退している。

 協議は結実せず、マティス氏の後任のマーク・エスパー(Mark Esper)氏は昨年、中国側との会談を取り付けるに至らなかった。(c)AFP